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https://iclfi.org/pubs/icl-ja/2/edca

海外通信委員会/フィリピン・スパルタシスト・グループの同志たちによる2月23日付録の翻訳を以下に転載する。


米国の覇権が衰退し、自由主義の秩序が崩壊へと向かうなかで、米国の反応は、中国とロシアへの圧力を増大させる一方で、フィリピンのような国々への支配を強化している。帝国主義の危機は米国を戦争へと駆り立て、東中国海からマラッカ海峡にかけての軍備増強は、中国との血なまぐさい対立の仕掛け線として機能している。

南中国海に位置するフィリピンは、世界で最も多忙な海上ルートを警備している。そして中国への石油供給の多くが、このルートを通過して行く。こうした係争海域には豊かな漁場があり、未開発の埋蔵海底石油、ガス、鉱物も存在している。米国は、フィリピンから、東アジア、東南アジア、インド洋といった世界で最も人口が多く、経済活動が活発な沿岸地域にアクセスできる。

何十年もの間、フィリピンの左翼は、南中国海におけるブルジョアジーの領土的野心を支持してきた。フィリピン共産党とその民族民主戦線の影響を受けた諸勢力、そして社会民主主義者と労働官僚は、ハーグの仲裁裁判所において、中国の海洋権益に反対するブルジァジーによる訴訟を積極的に支持してきた。彼らによる南沙諸島をめぐる多くのヒステリックな反中国の民族主義キャンペーンは、資本主義諸勢力と協調しながら、この地域での存在を高める米帝国主義を援護した。そして最終的に米帝は、フェルディナンド(ボンボン)マルコスジュニア大統領の下で、米比防衛協力強化協定―EDCAを通じて9つの軍事施設へのアクセスができるようになった。

EDCAの下でフィリピンにおける米軍の基地使用権の復活は、この地域での帝国主義覇権国による戦争推進の重大な出来事である。2月4日にフィリピン-アメリカ戦争の125周年を記念したフィリピン人にとって、EDCAは、フィリピン大衆にのしかかる帝国主義の最新の重荷であり、フィリピンが単に名目上独立したアメリカの新植民地であるのをはっきりと思い起させる。同様に、中国の労働者と農民にとって、こうした米軍基地は、彼らの存在に対する明確な目下の脅威である。

フィリピンの基地への米国によるアクセスは、この地域を戦争の瀬戸際へと押しやっている。EDCAは、この地域や世界の労働者と被抑圧大衆にとって恐ろしい苦難の前兆である。フィリピンの基地は標的となり、その後に続く武力衝突は、中国が主要な貿易相手国である東南アジアやオーストラリアの経済に大打撃を与えるだろう。

フィリピンの若者にとって、米国主導の戦争への絶えざる行進は、強制のROTC(予備役将校訓練課程)プログラムによる更なる統制と、戦争挑発者の大砲のえじきとしての残忍な未来を意味する。これに対して我々は言う。EDCAを粉砕せよ!米軍基地は出て行け!帝国主義を打倒せよ!ブルジョア軍国主義と帝国主義戦争を打倒せよ!強制の ROTC に反対せよ!ブルジョアの軍隊に1タオも1センシモも出すな

EDCAを粉砕するには、フィリピンと環太平洋西部全域から米国の強盗を追い出すために、中国を含めて巨大で国際的なプロレタリアの闘争が必要である。アクバヤン(Akbayan)やマカバヤン(Makabayan)のように、帝国主義の奴隷化に反対して中国の側に立つのを拒否する左翼や労働指導者たちは、我々の搾取者の陣営に立っており、中国の労働者や農民の支持を決して勝ち得ないだろう。その一方で、「一国社会主義」の綱領を掲げ権力の座にある中国共産党は、帝国主義が支配する国際秩序内での「平和的な台頭」のみを切望し、フィリピンやその他の地域における社会革命を、その目標を達成するための脅威とみなしている。反帝国主義の同盟は、寄生的な官僚を一掃し、資本主義が打倒された今日最大の国のかじを奪取するため、数億もの強力な中国プロレタリアートを鼓舞するだろう。

戦闘的な労働者や若者たちは、アクバヤン、マカバヤン、ナガイサ、フィリピン労働組合会議の指導部に対し、ますます不満を募らせている。そうした指導部は、公共サービス法、PUV(公共交通車両)近代化プログラム、憲法改正を含めて、ブルジョアジーの攻撃や新たな帝国主義の押し付けと戦うためのいかなる解決策も提供していない。代わりに、こうした労働官僚や自称左翼指導者たちは、フィリピンのブルジョアジーが、民族や社会の解放の戦いにおいて、労働者や被抑圧者の友人や同盟者になれるという考えを宣伝しているのである。

反帝国主義の労働者と急進的な若者たちよ!ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領のような、被抑圧者の友人や帝国主義戦争の反対者のふりをするブルジョア政治家に警戒せよ!ダバオのドゥテルテ家、その北部の同類たちであるイロコスのイミー・マルコス上院議員、カガヤンのマンバ夫妻は、EDCAに反対する我々の闘いを、真っ先に放棄し裏切るだろう。なぜなら、被抑圧民族よりも自身のビジネスや狭い一族の利益を優先するのが、新植民地所有階級のメンバーとしての本性だからである。ブルジョアジーが制御できない労働者や貧困層によるいかなる戦闘的な動員も、フィリピン社会の平和と安定に対する危険と当然ながら見なされている。その社会は、プランテーションや輸出加工区における人間の悲惨な状態と労働力の超搾取の上に成り立っている。

左翼や労働運動の内部で、親帝国主義者に反対する革命的な国際主義の旗を掲げることは、労働者と都市や農村の貧困層の間で、帝国主義に反対する人々の結集点として役割を果たすだろう。国の工業化、農民解放、外国の基地からの解放を達成するために、我々の闘争は、惨めなフィリピンのブルジョアジーや帝国主義者に束縛されない指導部を必要としている。

戦闘的な労働者と反帝国主義の学生たちにたいし、我々は、今日の鍵になる重要任務が、社会革命に向けた民族解放闘争を推進することができる真の共産主義党を建設することだと主張する。第一歩として、これは、我々が自身の運動からあらゆる汚点を粛清しなければならないことを意味する。ソニー・マトゥラ(FFW)、ジョシュア・マタ(SENTRO)、マイク・C・メンドーサ(TUCP)、エルマー・ラボグ(KMU)、ラウル・マニュエル(Kabataan)のような改良主義の調停主義者や親米の言いなりどもを、左翼や労働運動から追い出せ!

フィリピンと中国は、米帝国主義という共通の敵を持っている。中国の労働者、農民、人民解放軍の兵士と反帝国主義同盟を結成することは、フィリピンの被抑圧大衆、列島における勤労者多数の利益となる。

まず始めに、この戦う同盟を鍛え打ち固める道を阻む障害物を認識しなければならない。第一に、帝国主義は、南中国海における北京スターリニスト体制の海洋政策が作り出した反中国感情を利用している。中国当局が、何世代にもわたってこうした伝統的な漁場と安全な港を共有してきた近隣諸国の漁民たちに嫌がらせを行っている。第二に、ドゥテルテ前大統領の専制政権のように、ブルジョアジーの深く嫌われた諸分派を中国が支持することも、労働者の間で北京に全く人気を集めるものではない。

中国人民とフィリピン大衆にとって、この反帝国主義同盟を結成するのは、北京のスターリニストや、Partido Manggagawa(労働党)やPartido Lakas ng Masa(労働者大衆の党)のようなフィリピン左翼が広めた帝国主義者との「平和地帯」、「不干渉」や「平和共存」といった呼びかけを拒否することを意味する。これらは、帝国主義と戦争に対する我々の闘争を前進させるものではない。我々が必要なのは革命的な国際主義の綱領である。以下は最低限になすべきことである。

  • 反漁業障壁を取り払え!係争海域を共有せよ!
  • 帝国主義の侵略者から南中国海を共同防衛せよ!
  • フィリピンの漁民たちよ、このリーフレットを中国の人民解放海軍/海上民兵に配布せよ!

このリーフレットの革命的な反帝国主義の立場に賛成し、その実現方法について議論したい方は、我々に連絡ください。連絡先は23ページにある。